出来はまるで古宇多に見える貴重な在銘の室町前期の宇多派、友久の刀です。所伝によると鎌倉時代後期に大和国より越中国に移住した国光を祖とする宇多派は、相州上工として知られる則重や郷などの影響を受けながら、南北朝時代なら室町前期では、国房、国宗、友久などを中心として栄え、室町中期になると国次、国久、国清、平国などが戦国の気風に即して斬れ味重視の刀を造り、北陸道では最も大きな流派として活躍しました。本国大和よりも湯走りが地に広がった覇気がある地刃の刀や脇差が魅力ですが、実用に使われたり、無銘にされたためか現存の多くは短刀や脇差が多く、在銘の刀はとても貴重です。作風は地肌に地沸がミッシリとついて刃が沸づく他、姿なども同国の真景、藤島風の作刀です。古調な優美な姿ながら重ねはやや厚く、こちらは室町前期の特徴です。また、付属の拵えは幕末の入念な作でしっかりとした造りです。
友久(宇多、室町前期)
刃長 | 反り | 元重 | 元幅 | 先重 | 先幅 |
66.6cm | 1.81cm | 0.65cm | 2.5cm | 0.45cm | 1.6cm |
室町前期 加賀 保存刀剣 白鞘、拵付 48万円